甚──「異常」だと理解したその先に、連続する判断が待っている。
痛みの輪郭
じわじわと輪郭が濃くなる。体のどこで、どの姿勢で強まるか。吸気か、呼気か。動作による変化を静かに確かめ、 言葉にできる形へと置き換える。「刺す」「締めつける」「引き裂く」──比喩は医療者との共有に役立つ。
モニタリング
呼吸数、脈拍、血圧、皮膚の冷感。家庭用の計測器があれば値を記録し、なければ体感の推移を刻む。 時刻を添えること。時間軸のログが状況説明の背骨になる。
伝達
連絡先に短い報告を送る。「いま、こうだ。次に、こうする。」主観と事実を分け、曖昧語を減らす。 返信の有無にかかわらず、後で自分が見返せるように残しておく。
判断の疲労を減らす
人は痛みの中で、選択の数が増えるほど判断を誤る。だから選択肢を事前に狭める。 救急要請/自力移動の基準、どの病院へ、持ち物──チェックリストに沿って動く。
医療者への手渡し
「発症時刻」「痛みの性状」「既往・服薬」「悪化・軽減因子」。 4点セットを最初に差し出す。説明は短く、質問には端的に。検査と処置の時間を、言葉で邪魔しない。
記す理由
この章は、痛みが明滅する最中にもできる整え方を残すための記録だ。 未来の自分と、同じ状況にいる誰かのために。私たちはときに、他者の準備を借りて難所を越える。
※ 本文は個人の経験記録であり、診断や治療を指示するものではありません。症状がある場合は直ちに医療機関へ相談してください。